2012年12月13日木曜日

震災と銅像(その1)


あの東日本大震災から2年近く経とうとしていますが、まだその傷口は開かれたままだと言えるのではないでしょうか。
その歴史を背負って、日本の美術はどうあるべきか、そんなことを最近聞きます。

日本は震災の国です。災害の中で文化を育んできました。
90年程前、1923年(大正12年)には、マグニチュード7.9の首都を直撃した大地震を経験しています。関東大震災です。
この絵葉書は、その直後に上野にあった西郷隆盛像を写したものです。
わかりますでしょうか?西郷さんにベタベタと紙が貼られています。
実はこれらは、尋ね人のチラシです。
震災によって怪我をし搬送された人、火災などから逃げのびた人、そうした家族や友人を探すチラシです。
西郷像という当時の東京のシンボルに、多くの人が寄り集まってきたのです。

こういった用途に用いられる彫刻は、本来の意味で芸術ではないでしょう。
ですが、 これほどまでに愛される、必要とされる美術作品が以降の日本にあったでしょうか?

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