2012年11月6日火曜日

明治神宮競技大会のメダル

高嶋航著「帝国日本とスポーツ」を読み終わる。
 「帝国内の明治神宮大会と帝国外の極東大会の系譜をたどり、帝国内外のスポーツを結集して大東亜会議に連動して催された第一四回明治神宮国民錬成大会の実態を明らかにし、近代国家に翻弄されたスポーツの歴史をふりかえる。 」と紹介されるこの本は、 戦時下の日本をスポーツを通して立体的に浮かび上がれせます。
こんな凄い本を読むのは久しぶりです!

今回は、この本でも紹介されてました明治神宮競技大会の参加メダルを紹介します。
1924年(大正13)に明治神宮競技大会として始まった当時日本最大のスポーツの祭典は、「明治神宮体育大会」「明治神宮国民体育大会」「明治神宮国民練成大会」と名を変えながら、1943年(昭和18)まで行われます。どうして名前が変えられたのかは、上記の本をごお読みください。

このメダルの原型は、メダル彫刻の第一人者である畑正吉や「構造社」の日名子実三、齋藤素巌らが行なっています。

 
1924年(大正13)第1回 明治神宮競技大会

左:1925年(大正14)第2回 明治神宮競技大会
右:1929年(昭和4)第5回 明治神宮体育大会 (原型/畑正吉)

左:1931年(昭和6年)第6回 明治神宮体育大会(原型/齋藤素巌)
右:1933年(昭和8)第7回 明治神宮体育大会(原型/日名子実三)



 1937年(昭和12)第9回 明治神宮体育大会(原型/進藤武松)


 左:1939年(昭和14)第10回 明治神宮国民体育大会(原型/日名子実三)
右:1940年(昭和15)第11回 明治神宮国民体育大会 (原型/日名子実三)



 左:1941年(昭和16)第12回 明治神宮国民体育大会(原型/日名子実三)
右:1942年(昭和17)第13回 明治神宮国民練成大会(原型/日名子実三)

 1943年(昭和18)第14回 明治神宮国民練成大会(原型/日名子実三)


 「帝国日本とスポーツ」でも書かれてましたが、メダルの素材がどんどんしょぼくなっていくんですね。銅から、合金、陶となって最後はアルミです。1942年の第13回メダルは素材がわからないくらい錆びてしまっています。このメダルで錆の出てないものは今のところ見たことがありません。

面白いのは、畑正吉の真面目な作から、日名子への流れです。昭和の頭には他の「構造社」の作家も参加していますが、最後は日名子の独占の仕事となります。当時の日名子の人気と力を感じます。

個人的に好きなのは、1933年(昭和8)第7回、日名子実三原型のメダルです。蹲踞する神は「野見宿禰」です。相撲の神であり、埴輪の創始者と言われています。

0 件のコメント:

コメントを投稿